書評 潜在能力を最高に引き出す法: ビッグ・ポテンシャル 人を成功させ、自分の利益も最大にする5つの種
本の情報
タイトル:潜在能力を最高に引き出す法: ビッグ・ポテンシャル 人を成功させ、自分の利益も最大にする5つの種
著者:ショーン・エイカー (著)、高橋由紀子 (訳)
出版:徳間書店
他:単行本 2018/12/22発売 280ページ
どんな本か一言まとめ
自分の能力を引き出し、成果を高める方法を教えてくれる本
おすすめする読者
- 社会人
- 学生
本のポイント
- 限定ポテンシャルと最大ポテンシャル
- ポジティブな影響を高める
- ネガティブな影響を弱める
解説と感想
限定ポテンシャルと最大ポテンシャル
著者はポテンシャル(能力)を高め、成果を高めるためには、自分ひとりではなく、チームで活動することだとはじめに述べている。詳しくは、
- 限定ポテンシャル:自分1人で達成する限定的な小さい成功
- 最大ポテンシャル:他者との間に生じる好循環によってのみ達成可能な大きい成功
*最大ポテンシャル=個人の特性×(ポジティブな影響ーネガティブな影響)
と表現している。
また、学生時代は個人の成績だけが全てであり、社会に出るとむしろ自分1人だけではなく、チームで成果を求められる矛盾についても述べている。
シンプルな内容だ。当たり前だと思う方もいるだろう。だが、当たり前でシンプルだからこそ、”チームで最大の結果を出すためにやるべきことをやっているか”ということを、100%実現できている人は少ないのではないだろうか。これは、この”チーム活動”だけに限ったことではないが、”当たり前”や”シンプル”というのは、私は最強の武器であると思っている。最も強く、100%使いこなすのは難しく、最大限に努力しなければならない。これが私の持論だ。
ポジティブな影響を高める
まず、最大ポテンシャルを高めるためには、”ポジティブ(良い)な影響”を高めることが重要だと著者は言っている。具体的には、
- 最大の競争優位性を有するのは、ポジティブで意欲のある脳だ
- 会うといい気分になる人、力を与えられる人、意欲が湧いてくる人に3つあてはまる5人とよく付き合う
- 人をほめ、そしてそれと同じくらいに、自分をほめること
- 会話はポジティブな言葉ではじめる
という方法だ。
ポジティブとは良い影響であったり、楽観性(悪いほうではなく良いほうに考えること)ともいえる。当たり前だがやはり重要だ。みなさんも普段の仕事や生活でも簡単に思い浮かぶ内容だろうし、親や学校から当たり前に教わったことだと思う。しかし、私自身もそうだが、100%できているとは、なかなか言えることではないと思う。仕事や生活が100%良いことだけではないからだ。
だが、それを乗り越えて、ポジティブに考え、ポジティブに行動し、まわりにポジティブを分けてあげる。そして、ポジティブな人と付き合うことで、ポジティブを分けてもらう。この当たり前で大事な行動を、昨日よりも今日、今日よりも明日、”ちょっとだけ増やしてみる”、そして”続けてみる”といった積み重ねが自分をよりよく変えていくのだと思う。
ネガティブな影響を弱める
次に、最大ポテンシャルを高めるためには、”ネガティブ(悪い)な影響”を弱めることだと著者は言っている。具体的には、
- 喜びの反対は悲しみではなく無気力
- 職場における不安のほぼ90%は、わずか5%の、エネルギーを吸い取る人々が生み出している
- 1人の有害な人間は、1人のとりわけ優れた人間よりも、大きな影響をチームにもたらす
- 楽観性を準備しておく:嫌なことがあった日は、24時間以内に起きたいいことを3つ考える
と述べている。
これも実際の体験や経験からとっつきやすいのではないだろうか。ネガティブはポジティブよりも強く影響が働くところや、ポジティブなことよりネガティブなことのほうが思いつきやすく、心の残るところから、まさに”やっかいもの”といえるだろう。そして、これも普段の生活の中で、自分自身やまわりで当たり前のように”存在している”と思う。絶対にゼロではない。
繰り返しになるが、ネガティブな考えや行動をやめ、まわりにネガティブを分けさせない。そして、ネガティブな人と付き合わないことで、ネガティブを分けてもらわない。これは、ネガティブな考えや行動をやめることで、自然とネガティブな人が近寄ってこないという効果もあるかもしれない。そして、これを積み重ねることが何より大事なのだと思う。
まとめ
仕事はチーム活動。ポジティブに徹する。このシンプルさをしっかり伝えてくれた本だ。仕事や学校で、ここを意識するだけで、自分の見えてくる世界観やいろどりのようなものが、大きく変わるのかもしれない。それを学ばせてくれた本でもある。基本や初心に立ち返るきっかけにもなるはずだ。ぜひみなさんにも読んでいただきたい本だ。