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サブスクリプション 「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル 書評

本の情報

タイトル:サブスクリプション 「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
著者:ティエン・ツォ、 ゲイブ・ワイザート (著)、 桑野 順一郎 (監修、 翻訳)、他
出版:ダイヤモンド社  単行本(ソフトカバー) – 2018/10/25

360ページ

 

本のポイント

  • サブスクとはなにか
  • 企業はこれからどう変化するか

 

おすすめする読者

  • 会社員(売る側の立場)
  • 消費者(利用する立場)

 

解説と感想

サブスクとはなにか

サブスクとは簡単にまとめると「顧客が求めるサービスを、定期的な支払いで継続的に提供するサービス」のことです。

著者は、”ビジネスは歴史の転換点を迎え、世界の中心は製品からサービスへ移行しつつあり、消費者の関心が所有から利用へと加速度的に移行している。” と述べています。

また、企業側であれば、”収益の80%をサブスクで得ている1000万ドル企業であれば、常に800万ドルの売上が約束された状態で新年度をスタートすることができる” とも言っています。

 

サブスクの事例

では次にわかりやすい例を本書よりピックアップします。

 

フェンダー

テーマ:ギターの販売からミュージシャンの育成へ

サブスク:ギター初心者が最初の曲を30分程度でマスターできるよう指導する定額利用のオンライン教育動画サービスを開始

経緯:業界全体の売上が減少傾向、フェンダーの売上の約半分は初心者だが、初心者の90%が1年以内にギターをやめてしまう

 

ダゾーン

テーマ:視聴機会に恵まれない市場への配信(日本には実はNBAアメリカのバスケットボール)のファンが多くいるが、なかなか見ることができない)

サブスク:年間8000以上のスポーツイベントを月額20ドル(約2000円)で視聴できる

 

ポルシェ

サブスク:6つの車種から選択でき、メンテナンス・保険・車両税・登録料を含めて月額2000ドル(約20万円)から利用できる。他の車種に乗りたければ、アプリを使って簡単に車種を変えることができる。

 *リースとの違い:リースは気軽に車種を変えられない、リースは自分で保険に入る必要がある、リースは比較的長い期間の契約だが、サブスクは月ごとの契約となる等

 

 

他にも様々な実際のサービスがありますが、サブスクがどういうものかがわかっていただけたかと思います。

これは利用する側の消費者で考えると、夢が広がるサービスですね。

サブスクについては私は以下の点が良いと思っています。

  • 気軽にサービスを始められる(やめられる)
  • 定額制(毎月決まった金額など)
  • 所有しなくてよい
  • 業界やジャンルを問わず、何にでもサブスクのサービスが生まれる
  • 一人ひとりにあったサービスと値段を選べる

 

私はプロ野球が好きなので、あるチームの試合だけしか見られない代わりに料金を抑えるというサービスがほしいですね。シーズン中のみスカパーを契約していますが、おそらく放映権の都合で、「プロ野球を放送するチャンネルをすべて契約する」というサービスなんですね。新たなサービスを期待したいです。

 

企業はこれからどう変化するか

著者は、”製品中心から顧客中心にビジネスを変え、(中略)全体としての企業の機能も変わることになる”と述べています。

 

今までは「たくさんの人に売れる製品を売るためにどうするか」というビジネスから、「一人ひとり違った内容を求めるサービスを売るためにどうするか」という真逆の考え方になるのだと思います。私は以下の内容について企業側は大きく変わらなければならないと思います。

 

  • 顧客が求めていることは何かをもっと知らなければならない
  • サブスクは組み合わせにより、どのようなサービスも提供できる。それは異なる考え方、異なる部署、他の会社、異なる業界などもっと視野を広げなければならない
  • サブスクは提供しているサービスをすぐにでも変えられる。サービスをよりよくするためにはどうするか日々考え、スピーディーに改善しなければならない。

 

考え方が真逆だと言いましたが、求められる変化は相当大きく厳しいものになると思います。企業のこれからを左右することになるかもしれません。

 

まとめ

私たち消費者にとっては、これからどんな良いサービスが生まれるか期待が膨らむ中、逆に企業にとっては厳しく大きな変化を求められることになるかもしれません。しかし、前向きに考えれば大きなチャンスだと捉えることもできます。これからますますサブスクからは目が離せなくなりそうです。

また、ここでは紹介しきれなかった内容がたくさんありますので、少しでも気になった方はこの本をぜひお読みいただければと思います。