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書評 一流のリーダーほど、しゃべらない

本の情報

タイトル:一流のリーダーほど、しゃべらない

著者:桜井 一紀

出版:すばる舎

他:単行本 2017/8/18発売 224ページ

 

 

どんな本か一言まとめ

リーダーは自分が話す内容を変えることで部下を育てるという「コーチング」について教えてくれる本

 

おすすめする読者

  • 部下を持つリーダーや管理職
  • これからリーダーや管理職になるのが近い若手

  

本のポイント

  • リーダーは「今」話していることを減らし、部下の話を聞く
  • リーダーは部下一人ひとりと、部下本人の話をする

 

解説と感想

リーダーは「今」話していることを減らし、部下の話を聞く

 

リーダーは、部下に”教えすぎ”であり、部下の話を聞くことが少ないと著者は言う。その結果、部下は「教えられるのを待ち、受け身で考えない人」になり、育たないと述べる。なお、日本は世界的にみてもそういうリーダーが多く、仕事ができるリーダーほど教えすぎであるようだ。

また、リーダーとは話すことではなく、部下の話を聞き、部下に「考えさせる」ことで、部下は受け身ではなく自分から考え、「こうしたい」という発想や意欲がわき育っていくと著者は言う。

 

楽しい仕事や達成感が多かった仕事を思い浮かべると、上司が仕事をまかせてくれて、相談にもポジティブに返してくれて、成功という結果が出た時もそうだし、その仕事のプロセスも大変だけど楽しかったという経験がある。それは、私の上司が、私の話を”聞いてくれて”、”私自身に考えさせて”、”後押しをしてくれた”からだと思う。

上司は会社から与えられた仕事や成果に責任を負う。私が成果を出せなかったとしたら、責任を負わなければならない。そんなプレッシャーの中、私に任せてくれたことに関して、感謝の気持ちでいっぱいだ。もちろん、失敗の可能性を下げるために、上司は見守っていてくれたのだろうし、フォローをしてくれていたのだと思う。私は上司という立場ではないが、そんな上司になりたいと思う。もちろん、逆に嫌な思いをした上司もいる。若い時に感じたその嫌な思いを、未来の部下にさせたくないという気持ちも忘れない。そしてそれを実行したい。この本でそう思わされた。 

 

リーダーは部下一人ひとりと、部下本人の話をする

 

リーダーが部下一人ひとりと1対1で、定期的に部下本人の話をすることで、部下はどんどんやる気になると著者はいう。部下本人の話というのは、主語が「業務や仕事」ではなく、部下が主語である「あなたががんばっていること」「あなたがやりたい仕事」という内容である。

 

これは当たり前のようで実践するのは難しいのだと思う。難しいからこそ、できている人が少なく、効果が高いのだろう。具体的には、そもそも上司は忙しく、1対1で定期的に部下と話す時間を作ること、部下をしっかり見てないと話ができないこと、聞き役に徹して部下に考えさせるということは、会話に時間もかかるし、部下が答えを出すのにも時間がかかるということが想像できる。著者が言っているが、話すより聞くほうがエネルギーが必要だということだ。本当に上司は大変だ。

だが、それだけ部下を育てるということが重要であり、上司にしかできないことであり、それがとてつもないパワーやエネルギーを生んで、成果が生まれるということなのだろう。部下が育つまで時間がかかるだろうから、長期的なビジョンが必要だし、部下がどうやったら輝くのかという、もはや半分親のような感覚が大事なのだろう。昔は会社は家族だと言ったらしいが、それも分からなくはないと思える。

 

まとめ

上司は”話しすぎ=教えすぎ”であり、部下の話をもっと聞き、部下自身の話を定期的にしてあげる。それが部下の成長や意欲につながり、覇気のある良い組織や仕事につながるという内容だった。また、著者は「硬直してしまった関係も必ず変えられる」とも述べている。急に話を聞いてくれるようになって上司が不気味だと陰で言われながらも、実際評価しているという部下の事例を交えながら説明している。「今さら変えるのは無理だ」という人が多いのかもしれない。でも、その勇気をもらえる言葉を信じて、少しでもいいから話し方、聞き方を変えてみる。そんなきっかけとなってもらえれば幸いである。